久しぶりのブログです。
最近後鼻漏（鼻汁がのどに落ちてくる症状）を訴えられる患者さんが大変多いので、ブログを書くことにしました。
後鼻漏は鼻炎や副鼻腔炎で起きる可能性もありますが、実はその割合はあまり多くありません。鼻炎や副鼻腔炎に伴う後鼻漏は、鼻水（鼻炎の場合は水っぽい鼻水、副鼻腔炎の場合は膿のような鼻水）、鼻詰まり、くしゃみ、顔面痛など、後鼻漏以外の症状を基本的に伴います。後鼻漏以外の鼻症状があまり無い場合、慢性上咽頭炎という、のどの炎症が原因である可能性があります。コロナの後遺症にもありますので、メディアでその名称を聞いたことがある方もいらっしゃるかと思います。鼻水や鼻詰まりはあまり無いが、後鼻漏（咳や痰を伴うこともあります）がとても辛いと訴えられる患者さんは慢性上咽頭炎の可能性が高いです。耳鼻科で何でも無いと言われたが、後鼻漏が辛いという方もいらっしゃると思いますが、耳鼻科医でも上咽頭炎に詳しくない先生だと診断が難しい場合があります。上咽頭炎はのどの炎症なので、鼻の手術治療では治りません。鼻の手術に後鼻神経切断術という鼻水を減らす手術があり、この手術をすれば後鼻漏が減るのではないかと期待されて来院される患者さんがおられますが、上咽頭炎の後鼻漏は鼻水ではありません。のどの分泌物です。後鼻神経切断術で切断する神経は鼻腔に分布する神経ですので、切断してものどからの分泌物の量は変わらないのです。

上咽頭に炎症が起き、分泌物が大量に付着しています。

上咽頭炎については日本病巣疾患研究会の説明が分かりやすいので、ご興味がある方はご一読ください（https://jfir.jp/chronic-epipharyngitis/）。
慢性上咽頭炎の治療ですが、鼻うがいを毎日1～3回してください。鼻洗浄器は様々な種類が販売されておりますが、お好きな器具で良いと思います。安いものであれば、1000円ほどで購入できます。食生活も重要です。甘い物や小麦食品、乳製品が好きでよく食べ、胃腸が弱い方は要注意です。スイーツや果物、パン、麺類、牛乳などたくさん摂取していると、腸内環境が悪化し、炎症が強くなったり、長引いたりするようになります。当院では腸活をお勧めしています。食物繊維、海藻類、キノコ類、納豆などの発酵食品は腸内環境を改善します。ビオフェルミンなどの整腸剤も併用するとより効果的かと思います。整腸剤は薬局で購入できます。また、腸活については巷に良い本がたくさんありますので、そちらを参照してみてください。鼻うがいをしたり、生活習慣を改善しても後鼻漏が気になる場合は、上咽頭擦過治療（イートやＢスポット療法と呼ぶこともあります）を検討してください。のどの治療なので、当院では行っておりませんが、開業の耳鼻科で熱心に行っている所もありますので、相談してみてください。
以上、後鼻漏症状の改善に少しでもお役に立てればと思い書きました。
ご参考になれば幸いです。
鼻・副鼻腔クリニック大宮
　院長　金谷毅夫