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市販の点鼻薬が手放せない方へ

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市販の点鼻薬が手放せない方へ

  • 2024年2月3日

この記事をご覧になっているということは、きっと市販の血管収縮剤入りの点鼻薬が手放せない方なのでしょう。
そして点鼻を挿さないと苦しくてたまらず、夜中に何度も鼻詰まりで起きたりして、そろそろ鼻の手術も考えないといけないかもしれない、と思っていらっしゃるのでしょう。
そういう貴方の病名は『薬剤性鼻炎』です。
まず最初に言っておきますが、薬剤性鼻炎は手術では治りません!


薬剤性鼻炎の鼻です。鼻の粘膜が全体的に炎症を起こし腫れています。

血管収縮剤(ナファゾリン塩酸塩、オキシメタゾリン塩酸塩、塩酸テトラヒドロゾリン)が入っている点鼻薬を数時間おきに使用しておりますと、鼻の粘膜が炎症を起こし、薬剤も効きにくくなり、効果も短時間で切れるようになります。そのため点鼻回数が徐々に増えていってしまうのですが、最大の問題はそこではありません。
一番の問題は、点鼻を挿した直後のすーっとした鼻の通りが、自分の通常の状態なんだと脳が認識してしまうことです。一度脳が誤認識してしまうと、点鼻の薬効が切れた状態が、病的に辛く感じるようになってしまいます。そのため手術したい!と思うほど、いてもたってもいられない苦しさになるのです。この辛さから抜け出す方法は一つだけです。点鼻を止めて下さい。それができれば苦労しないよ、とおっしゃらないでください。止めるしかないのです。点鼻を止めて数日から一週間ほどは地獄の苦しみかもしれません。ただそこを乗り切れば点鼻を挿さなくても大丈夫になるはずです。思い出してください。点鼻を頻回に使用する以前の鼻詰まりを。そのときに貴方は手術がしたくてたまりませんでしたか?点鼻回数が増えてきて、苦しさが増し、手術を考えるようになったのではないですか?もしそうであれば、今の苦しみは点鼻使用のせいです。
点鼻を使い続けていても、手術して鼻を広くすれば良いのではないかと思っていませんか?残念ながら違います。薬剤性鼻炎では、鼻の粘膜が全体的に腫れます。手術で鼻全体の粘膜を収縮させることは不可能です。そのため手術後も点鼻を挿した直後のすーっとした鼻通りが忘れられず、点鼻を使い続けることになります。
当院には薬剤性鼻炎の方が大勢いらっしゃいます。皆様に同様の説明をし、点鼻を止めていただいております。そうしますと、100%の確率で鼻閉は改善し、初診時は手術したくてたまらなかった方が、再診時には、もう手術は結構です、となります。もちろん改善はしたが、鼻閉が残っているので手術はしたいという方も中にはいらっしゃいますが、ごくごく少数です。
この記事を読んだあとは点鼻を一切挿さないでください。そうすれば点鼻を使い始める前の鼻の状態に戻ります。もし点鼻を止められた後も、鼻詰まりで日常生活に支障を来すようであれば、手術加療の適応になるかもしれませんので、是非当院にお越しください。
ちなみに鼻うがいをすると鼻通りが良くなります。点鼻を止めて苦しい時は鼻うがいをしてください。苦しい間は、詰まるたびに鼻うがいをしても大丈夫です。専用の器具が薬局やインターネットで購入できますので、好きな洗浄器をお買い求めください。
市販の点鼻薬が手放せない方が、一日も早く薬剤性鼻炎から脱却し、快適な生活が送れるようになりますことを心から願っております。
この記事が少しでもお役に立てましたら幸いです。
鼻・副鼻腔クリニック大宮
 院長 金谷毅夫

追記)市販の点鼻薬でもステロイド含有の点鼻薬は使用していただいて大丈夫です。薬の箱をみてナファゾリン塩酸塩、オキシメタゾリン塩酸塩、塩酸テトラヒドロゾリンが入っていない点鼻薬をお選びください。分からなければ、薬局の人にステロイド点鼻を下さいとお伝え下さい。