初診の方へ
初診の方へ
当院では、患者様お一人お一人に十分な診察時間を確保したいと考えている関係上、完全予約制を導入しております。予約が入りづらいなどご不便をおかけする場合もあるかとおもいますが、どうかご理解のほどお願い申し上げます。
初診の際は保険証・医療証等を必ずお持ちください。保険証の確認が取れない場合は保険診療として取り扱うことができず、自費での診療となりますのでご了承ください。
※保険証の期限切れにご注意ください。
各種保険証・医療証・マイナンバーカード(オンライン資格確認ご利用の場合)、紹介状、診療情報提供書
(必須ではありません):採血など検査結果のコピーなど、おくすり手帳
ほかの医療機関を受診中の方は、お薬手帳・または現在服用している薬がわかるものをお持ちください。
当院の日帰り手術について、ご確認をお願いいたします
※術後の快適な状態を保つため、症状によっては内服治療、生活習慣の改善などの併用をおすすめいたします
一般的によく用いられている治療です。内服のみや、内服と点鼻の組み合わせ、鼻洗浄と点鼻の組み合わせなど、治療方法は施設、医師、病状によって様々です。
当院では特に鼻洗浄を重視しています。
各患者様の生活環境、生活習慣なども考慮して、症状改善のための投薬やアドバイスをさせていただきます。手術治療に抵抗のある方や、手術治療後も症状が残存する方、症状の原因として、手術治療での改善が難しい方などにもお勧めしています。
以下は、当院で手術をお受けいただく方にお渡ししている文書です。当院での手術治療をお考えの患者様にもご一読いただきたく掲載いたしました。
当院の手術目的は、鼻腔形態を是正し、鼻詰まりから生ずる様々な症状を改善することです。鼻が詰まることで、集中力、睡眠の質、運動能力などが低下します。また、口呼吸になると、吸った空気が鼻というフィルターを通らなくなります。結果として、感染症に罹患しやすくなったり、口が乾いて口臭が生じたりと、良いことはありません。また、鼻汁が多い方は、鼻汁を減らす手術もあります。常に鼻をかんで、ティッシュが手放せない状態は、考えただけでもストレスです。鼻汁が鼻の奥に溜まることで、鼻閉にもなります。鼻詰まりの原因は鼻炎だけでなく、鼻副鼻腔炎から生ずる鼻茸、腫瘍などもあります。これらの原因を手術によって取り除くことにより、生活の質がぐっと上がります。
基本的に全身麻酔で行います。麻酔がかかっている間は、意識がありませんので、痛みを感じることはありません。手術中の記憶もありません。知らない間に眠り、目が覚めたら、手術が終わっています。麻酔は麻酔専門の先生がかけますので、ご心配はいりません。手術時間も1時間前後と短く、術後30分で飲水可能、トイレへの自力歩行も可能となります(個人差は多少あります)。皆様が嫌がる尿道への管の挿入もありません。
手術では内視鏡という細いカメラを鼻に入れ、画面を見ながら手術をします。カメラも手術器具も鼻の穴から挿入しますので、顔の表面に傷は付きません(鼻の穴の周囲が赤くなったりすることはありますが、一時的です)。
当院では、どの手術後もガーゼやスポンジなどの詰め物はいたしません。副鼻腔の術後のみ吸収性の止血剤を副鼻腔に留置しますが、2~3週間で自然吸収されるため、抜去処置の必要はありません。
手術が終わった直後は、あまり痛みを感じない方が多いです。術後数時間経つと痛みが出てくる方がいらっしゃいます。そのときは飲み薬か座薬の鎮痛剤を使用していただきます。鎮痛剤を使用すれば、痛みはほとんど無くなる方が多いです。鼻を氷などで冷やしたりするのも効果的です。一晩がんばれば、翌朝には大分楽になる方が多いです。鼻は手術直後には通っていますが、しばらくすると詰まってしまいます。これは、創部から浸み出た血液や分泌物が鼻腔に溜まること、鼻の粘膜が腫れることが原因です。手術当日は鼻がかめませんので、詰まりは我慢していただくしかありません。翌日から鼻洗浄を始めていただきますので、詰まりは多少楽になります。鼻詰まりは徐々に軽くなりますが、通るようになるまでは1~2週間必要です。手術直後には、血液混じりの分泌物が垂れて来ますので、鼻に綿球を入れます。汚れたら、適宜ご自身で交換していただきます。のどの方に血液が大量に回ったり、綿球がものの数秒で真っ赤になるなどあれば、出血している可能性があります。すぐに医師なり看護師なりに教えてください。極まれにですが、手術してから2~3週間後に出血することがあります。可能性は0.2%ほどです。万一そのようなことがあれば、すぐに当院にお知らせください。鼻血は必ず止血できますので、焦らずにご対応ください(対応方法、連絡先につきましては、別紙を参照ください)。
術後出血を予防するために、激しい運動(例えばランニングや筋力トレーニングなどのいきむ行為はダメです。自転車を漕ぐくらいは大丈夫です。便秘の方はご注意ください。)と飲酒は禁止させていただいております。また、術後2週間は強く鼻をかむことも止めてください。
術後は手術から1週間後、1ヶ月後、2~3ヶ月後に再診していただきます。術後2、3ヶ月後にCTを撮らせていただき、問題なければ通院は終了になります。難病である好酸球性鼻副鼻腔炎(こうさんきゅうせいびふくびくうえん)の方は、術後も1~2ヶ月に1回の通院が必要になる方が多いです。術後の快適な状態を保つための生活指導や、適宜内服薬や点鼻薬を使用していきます。難病指定もされている鼻副鼻腔炎であり、確固たる治療がありませんが、手術治療を始め、内服治療、生活習慣の改善などを併用していくことで、良い状態を保つことが可能です。
手術はリスクのある治療です。残念ながら、合併症ゼロの手術法は存在しません。鼻に限らず、あらゆる手術で合併症のお話をしなくてはなりません。リスクのある治療だからこそ、ご自分の信頼できる医療機関で手術を受けてください。心に不安や、納得できない気持ちがあるまま手術を受けてはいけません。手術を受けることを決めた後でも、そのようなお気持ちがあるようであれば、遠慮無くおっしゃってください。いつでも中止なり延期なりできます(できれば予定2週間前までにおっしゃっていただけますと嬉しいです)。
さて、合併症ですが、最多なのは術後の鼻血です。最多といっても、0.5%ほどです。ただゼロではありません。万一出血した場合は、緊急電話に連絡をいただき、処置が必要と判断した場合は、受診していただき止血処置を行います。
この後は、かなりまれな合併症ばかりなので、あまり気にされなくて良いかと思いますが、お話しておきます。少し長いですが、お付き合いください。
まず鼻中隔の手術に特徴的な合併症として、鼻の外見の変化があります。具体的に説明しますと、鼻中隔は鼻の真ん中にある軟骨と骨でできた、左右を分ける仕切り板です。ここがどちらかに極端に曲がっていると、凸側の鼻が詰まりやすくなってしまいます。曲がった軟骨もしくは骨を切除することで、詰まりを改善する手術です。鼻中隔の構造全てを除去するわけではなく、曲がっている部分のみを取ります。ただ、中には広範囲で曲がっていたり、鼻を支えている前方部分がひどく曲がっている患者様がいらっしゃいます。この場合、切除する範囲や場所により、多少(数㎜単位です)鼻の高さや鼻先の角度が変化することがあります。鼻の外見が変化する可能性があるかたには、手術前にお知らせしますので、嫌であれば、鼻中隔の手術はしないほうが良いと思います。しかし、実際は鼻中隔の手術後に鼻の外面上の変化を気にされる方はほぼいらっしゃいません。あえて可能性を表すなら、0.02%くらいでしょう。
もう一つ、鼻中隔穿孔(びちゅうかくせんこう)という合併症があります。これは、仕切り板である鼻中隔に穴が開くというものです。軟骨、骨を取り除いた部分は粘膜のみになります。イメージが湧かない方は、柔らかい布で挟んだ鉄板を思い浮かべてください。鉄板が入っているときはガチガチに堅いですよね。そこから一部分鉄板を取り除きますと、布だけの部分はフニャフニャになることが想像できるかと思います。ここまで極端ではありませんが、原理は同じです。そのフニャフニャの部分は弱いですから、自然と破けて穴を形成するのが、鼻中隔穿孔です。穴は鼻の中ですから、外見上の変化はありませんし、他人様から見えることもありません。通常症状も無いため、ご本人も医師に指摘されるまで気づかないかもしれません。まれに、穴の周囲にかさぶたが付きやすくなり、鼻をかむと血が混じるようになったり、息を思い切り吸い込んだ際にピューと音が鳴ったりします。この合併症の頻度は約0.5%です。
もう一つの鼻詰まりを改善する手術の代表が、下鼻甲介を切除する手術です。鼻の中には3つのヒダがあり(壁から出ているコの字型の棚のような物を想像してください)、上から上鼻甲介(じょうびこうかい)、中鼻甲介(ちゅうびこうかい)、下鼻甲介(かびこうかい)と呼んでいます。下鼻甲介は中でも一番大きい構造で、鼻が詰まる時は、これが肥大していることが多いです。まれに中鼻甲介が大きい場合もあります。この時は、中鼻甲介も小さくします。
この手術は施設によって方法が様々です。最もバリエーションの多い手術だと思います。下鼻甲介粘膜を小さくする方法にはレーザーや電気で粘膜表面を焼き、収縮させる方法、粘膜自体を切除する方法(切除する方法にもハサミで切ったり、シェーバーと呼ばれる特殊な器械で吸引しながら切除したり、色々あります)、下鼻甲介の骨を除去する方法(粘膜は全部残ります)があります。当院では骨を除去する方法を用います。下鼻甲介の粘膜には、鼻を温めたり、加湿したり、汚れを除去したりと大事な機能がありますので、粘膜は全部保存したほうが良いと考えています。また今まで様々な方法を行ってきた経験上、骨を除去する方法が最も効果が高いと確信しております。正直なところ、骨を除去する方法は、他の手技に比べて、手間がかかります。しかし術後の経過が良く、効果の高い方法ですので、当院ではあえてこちらを用いています。骨切除には大きな合併症がありません。出血がごくごくまれにあるくらいです。
昔は粘膜を丸ごと切除する方法がありました(もしかしたら、今もこの方法をされている先生がいらっしゃるかもしれませんが)。この方法で手術をされますと、先ほどお話しした鼻の加温加湿、自浄作用などが失われ、半永久的に悪臭のするかさぶたが付くようになったり、ひどい鼻詰まりに悩まされるようになったりします(なんで粘膜を取ったのに、鼻詰まりになるの?と思われるかもしれませんが、鼻はある程度狭い方が良いのです。口をすぼめて空気を吸ってみてください。空気が勢いよく入ってきましたよね。次に大きく口を開けて吸ってください。どうでしょうか?口をすぼめて吸ったときより、明らかに勢いがないですよね。鼻腔も広すぎると、口を大きく開けて吸い込んだときと同じになります)。こういったことからも、粘膜保存がいかに大事か分かっていただけたかと思います。
下甲介粘膜の肥大がメインの場合は、粘膜を収縮させるこちらの方法を選択することもあります。主に後鼻神経切断術と併用することで、鼻閉改善に効果があります。
次に後鼻神経切断術の合併症です。後鼻神経切断術は鼻の最奥で神経を切断する難易度の高い手術です。最近では行う施設も増えて来ましたが、その方法は施設によって大分違います。オリジナルの方法は、神経の元の方で切断しますが、後鼻神経が蝶口蓋動脈という太い血管と併走しているため、神経のみ切断するのは難易度が高いのです。そのため、施設によっては神経と血管を同時に切断したり、奥ではなく近いところで神経を切断する施設もあります(神経は元から末梢へ分岐して行きますから、枝を切るより、元で切ったほうが理論上は効果が高いことになります。大木の幹を切るのと、上の方で小枝を切るのでは、効果が及ぶ範囲が違うことが何となく想像できますでしょうか)。当院では、神経の元のところで、動脈は傷つけず神経を切断するオリジナルの方法で手術を行っています。血管を傷つけないため、術後の出血の可能性をかなり減らすことができます。動脈を切ってしまうと、術後2週目くらいに大量の鼻出血をみることがあります。また動脈は、鼻腔を栄養している血管ですので、切断してしまうと、一部の粘膜がだめになったり、粘膜の機能低下を来したりする可能性があります。当院の方法で手術をした場合、後鼻神経切断術の合併症(術後の鼻出血)を起こす確率は、限りなくゼロに近いと言えます。
最後は鼻副鼻腔炎の手術の説明です。鼻副鼻腔炎の手術というと、一昔前は歯茎を切開して、口から鼻にアプローチする方法が主でした。今でも患者様の中には、この方法で手術をすると思われている方がいらっしゃいます。現在は副鼻腔の手術も、内視鏡で行います。
そもそも副鼻腔と言われても、ピンと来ないかと思います。副鼻腔は顔面の骨の下にある空洞のことです。なぜ空洞になっているのかは諸説あります。顔に受ける衝撃を分散するためとか、声の共鳴に役立っているとか言われていますが、はっきりしたことはわかっていません。この空洞に炎症を起こした状態が鼻副鼻腔炎です。炎症には細菌感染など原因がはっきりしているもの、前述した難治性鼻副鼻腔炎(好酸球性鼻副鼻腔炎)のような原因が明確でないものがあります。簡単に言うと、膿が溜まるのが主体であれば細菌感染、鼻茸(鼻ポリープ)と呼ばれる粘膜が腫れた状態(ポリープと呼びますが、腫瘍ではありません)が主体になるものが、好酸球性鼻副鼻腔炎であると考えていただいて良いかと思います。どちらも程度の差こそあれ、鼻水、鼻詰まり、嗅覚の低下などが主症状です。細菌感染による鼻副鼻腔炎では、悪臭のする鼻水、微熱、顔の痛みや腫れを起こすことがあります。好酸球性鼻副鼻腔炎は、透明でねばねばした鼻水、強い鼻つまり、嗅覚障害が主症状になります。いずれにしろCTスキャンや内視鏡所見で診断していきます。
さて、手術の合併症の話でした。副鼻腔はどこに位置するかと言いますと、おでこ、目と目の間、頬、鼻の最奥部に存在しています。それぞれ前頭洞(ぜんとうどう)、篩骨洞(しこつどう)、上顎洞(じょうがくどう)、蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)と呼ばれます。当院のホームページに図があるので、ご参照ください。顔の真ん中に鼻があり、その周囲に目や頭蓋底(鼻から脳につながる部分。骨で仕切られています)があります。すなわち手術操作を誤ると、目や脳に危害が加わる恐れがあるのが副鼻腔の手術です。目や脳を損傷してしまうと、視力障害(失明のおそれも)、眼球の運動障害(目がある方向に動かなくなる)、髄膜炎、脳炎などの恐ろしい合併症が起きる可能性があります。こう聞くと、とても危険な手術という印象をお受けになるでしょう。しかし、これらの合併症が起きる可能性は極めてまれです(施設によって違うと思いますが)。熟練した術者がこれらの合併症を起こす可能性はゼロと言って良いかと思います。もちろん当院ではゼロです、と言い切っておきます。副鼻腔の手術は内視鏡での鼻手術では、最も重篤な合併症を持つ手術です。それだけに、手術をお受けになる際は、慎重に病院や担当医をお選びいただきたいと思います。
手術を受ける前に知っておいていただきたい内容を、なるべく網羅して書いたつもりですが、説明不足の部分もあるかもしれません。疑問点などございましたら、診察室で遠慮無くおたずねください。手術はリスクのある治療法ですが(手術以外の治療にも多かれ少なかれリスクはあります)、1時間から1時間半の処置により、劇的に人生が変わる方もいらっしゃいます。もちろん、期待していたほどでは無かった、とおっしゃる方もおられます。手術を受ける前に、良くお考えになって手術を受けていただきたい、との思いから、この説明書を作成いたしました。手術治療には適応があり、年齢や持病などの理由で手術を受けられない方には、大変申し訳なく思いますが、治療によりお体を壊されては何の意味もありませんので、何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします。手術を受けられない場合でも、辛い症状を緩和する方法はありますので、ご相談に乗らせていただきたく存じます。長くなりましたが、最後までお読みいただき誠にありがとうございました。