鼻の手術解説|鼻炎・副鼻腔炎の手術なら、鼻・副鼻腔クリニック大宮|大宮駅から徒歩12分

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鼻の手術について

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鼻中隔手術

図1 図1 鼻中隔が真っすぐな人の鼻
図2 図2 鼻中隔が右に曲がっている人の鼻
図3 図3 鼻中隔だけを矯正した場合

鼻中隔は鼻腔を左右に仕切っている真ん中の壁のことです(図1)。
皆様もご自分の鼻頭を押すと、何かがコキコキと動くのを指先に感じるかと思いますが、この動いているのが鼻中隔軟骨です。
鼻中隔は前の方が柔らかい軟骨、後方は硬い骨が組み合わさって形成されています。
この鼻中隔が左右どちらかに曲がってしまうと、曲がった側が狭くなります。
逆側は広いので通りは良いのですが、広い方ばかりで呼吸を続けていると、鼻の粘膜(下鼻甲介 かびこうかいと呼びます)が腫れてきてしまい、結果的に両方の鼻が詰まってしまいます(図2)。
この状態を改善するために、鼻中隔矯正手術を行いますが、鼻中隔のみを直してしまうと、図3のように、狭い側がより狭くなってしまいます。
そのため粘膜形成手術(下鼻甲介手術)を併用し、図1のようなバランスの良い鼻腔にします。
もちろん粘膜が腫れていない方は、鼻中隔矯正のみで良いかもしれませんし、鼻中隔彎曲が無い鼻炎の方は下鼻甲介手術のみ受けられる方もいます。
後日紹介しますが、鼻汁症状のみお困りの方は、副交感神経の切断手術のみ受けられるという方もいらっしゃいます。
鼻の手術はお困りの症状改善のために、最適な組み合わせを考えるオーダーメイド手術なのです。

鼻中隔手術

鼻の粘膜を小さくする術式

鼻には3つの甲介と呼ばれる粘膜(ヒダのような形状をしています)があり、それぞれ上鼻甲介(じょうびこうかい)、中鼻甲介(ちゅうびこうかい)、下鼻甲介(かびこうかい)と呼びます。中でも下鼻甲介は大きく、鼻炎のある方はここが大きく腫れて、鼻の通りが悪くなってしまいます。
そこで、下鼻甲介の形状を小さくし、鼻の通りを改善しようというのが、下鼻甲介手術です。
下鼻甲介は図1のように、骨の部分と粘膜の部分がありますので、下鼻甲介のボリュームを小さくするためには、粘膜の量を減らす(図2、3)か、骨を除去するか(図4)、ということになります(もちろん両方併用ということもあります)。
各術式については下記に細かく説明してまいります。

図1 図1 下鼻甲介
図2 図2 下鼻甲介粘膜焼灼術
図3 図3 下鼻甲介粘膜下減量手術
図4 図4 下鼻甲介骨切除術

下鼻甲介粘膜焼灼術

下鼻甲介粘膜焼灼術

下鼻甲介粘膜を収縮させる方法には、粘膜表面を焼いて収縮させる方法や、粘膜の下を焼いて(粘膜に針状の器具を挿入し、粘膜下組織を焼きます)収縮させる方法があります。用いる器具もレーザーやアルゴンプラズマ凝固装置、高周波凝固装置など多岐に渡ります。それぞれ一長一短ありますが、手術効果には大きな差はありません。

粘膜収縮手術の利点は以下の通りです。

  • 外来で可能。
  • 局所麻酔下で可能。
  • 処置時間が短い(片側数十秒から数分)。
  • 料金が安い(両側で約1万円 医療保健適応)

デメリットは以下の通りです。

  • 有効期間が短い(1年から2年)。
  • 局所麻酔下で可能。
  • 鼻中隔彎曲症がある方は、狭い側が十分に処置できない(術後癒着する可能性があるため)。

デメリットの方が少なく、良いように思われますが、手術効果が1、2年と短期間のため、1年中ひどい鼻炎症状にお悩みの方には不向きと考えます。当院ではあくまでも花粉症に対する対症的な治療という位置づけです。通年性にひどい鼻炎症状でお悩みの方には次回以降お話しする下鼻甲介の骨を切除する方法や、後鼻神経を切断する手術をお薦めしています。
この処置の後しばらくは鼻汁、鼻閉が悪くなります。数週間はカサブタが鼻内に付着するため、鼻洗浄をしていただきます。

下鼻甲介粘膜下組織減量手術

下鼻甲介粘膜下組織減量手術

下鼻甲介手術の中の、粘膜下組織を減量して通気を改善する手術の説明です。
下鼻甲介は図1のような構造をしています。

上記で粘膜表面を焼くことで下鼻甲介を小さくする手術を説明しました。下記は粘膜の下の組織を除去することで、下鼻甲介の大きさを小さくする手術の説明です。この手術は局所麻酔でも行えますが、鼻中隔の手術や、神経切断手術と併用することが多いため、当院では全身麻酔下に行うことがほとんどです。
粘膜下組織の減量の仕方にはいくつか方法がありますが、近年ではマイクロデブリッダーという、柔らかい組織を吸引しながら除去する特殊な器械を用いる施設が多いと思われます。当院でも、この手術を行う場合には、この器械を使用します。具体的には、下鼻甲介に数ミリの小さい切開を入れ、その切開部から4ミリのマイクロデブリッダーを挿入し、下鼻甲介粘膜下の組織を吸引しつつ削り取ります。

図1 図1 マイクロデブリッダーの先端模式図
図2 図2 下鼻甲介粘膜下減量手術

この手術のメリットとして以下の点があります。

  • 手術創が小さくすむ。
  • 出血のリスクが少ない。
  • 傷の回復が早い。
  • 手術時間が短い(片方約5分)。

デメリットとしては、手術の効果期間が短めであり、重症な方は数年で鼻閉が戻る、ということがあります。

私見ですが、この手術は術者にとっては簡便、安全なため、好んで用いられますが、症状が再発する方もしばしば見られます。そのため、当院では下鼻甲介骨を切除する方法を主に用いています。

粘膜下下鼻甲介骨切除術

骨を切除する方法を説明します。
当院ではこの方法をメインに用いています。
その理由はなんと言っても、治療効果が高いからです。
私は下鼻甲介の手術だけでも、数千件はしてきたと思います。
その中で、前回、前々回に説明させていただいた、粘膜の焼灼や粘膜下で組織を減量する方法も行ってきましたが、術後の経過、治療効果の長さをみると、今回の方法が一番良い印象です。

下鼻甲介は図1のように、粘膜とその下の骨から成り立っております。
骨を除去することで、粘膜を傷つけることなく、大きな減量効果が得られます(図2)。
粘膜は鼻の自浄作用や、吸気の加温加湿など大切な役割がありますし、粘膜に対する手術侵襲を最小限にすることで、術後出血のリスクを減らし、創傷治癒を早めるという良い効果も期待できます。

従来骨を摘出するためには、比較的大きな切開を下鼻甲介に入れる必要があり、術中術後の出血が問題でしたが、当院独自の方法であれば、出血もほとんどなく、術後の詰め物挿入も必要なくなります。

図1 図1 下鼻甲介
図2 図2 下鼻甲介骨切除術

下鼻甲介手術

後鼻神経切断術

後鼻神経切断術

鼻中隔や下鼻甲介の手術は、形態を変化させて鼻つまりを減らすというものでした。
神経切断術は、神経を切ることで鼻汁やくしゃみ症状を減らすという、いわば機能的な面の改善を狙った手術です。
高度な鼻閉、鼻汁、くしゃみでお困りの患者様は、鼻中隔矯正、下鼻甲介減量、神経切断を合わせて行うことで、大きな症状改善が期待できます。
神経切断術は高度な技能を要する手術ですので、誰でもできるわけではありません。
この神経は蝶口蓋動脈という太い動脈に併走しており、神経だけを選択的に切るにはかなりの技術が必要です。施設によっては、動脈ごと神経を切る方法や、下鼻甲介に分布する末梢枝を切る方法などを行っています。
当院では、蝶口蓋孔という神経と動脈が鼻内へ入ってきた直後のところで、神経のみを選択的に切断する方法を取っています。動脈は、鼻腔組織を栄養しておりますので、保存したほうが良く、切断してしまうと、術後の出血(2週間前後で起こってきます)のリスクが高まるとされています。
写真のような綺麗な術野を作ることで、神経のみを丁寧に切断していくことが可能です。
手技は難しいとされていますが、当院では片側約10分ほどで完了し、傷も非常に小さいため、詰め物の必要はありません。私の最も得意とする手術でもあります。
今まで内服や点鼻などで良くならなかった難治性の鼻炎の方に、お勧めしたい手術です。

後鼻神経切断術

副鼻腔手術

副鼻腔は顔面骨内に形成された空洞で、図のように前頭洞、篩骨洞、上顎洞、蝶形骨洞の4つがあります(篩骨洞は前部篩骨洞、後部篩骨洞の2つに分かれます)。

副鼻腔手術1
副鼻腔手術2

副鼻腔周囲には眼球や頭蓋底があり、手術には細心の注意と、正確な操作が要求されます。現在では内視鏡手術が主流で、手術の侵襲も少なくなり、日帰りや1泊の短期滞在で行えるようになりました。
それでも、術者の熟練度により、手術時間、出血量など大きな差が出る手術であります。

当院では、副鼻腔の手術は両側でも1時間以内の短時間で行っており、術後の挿入物も侵襲の少ない、自然に溶けるタイプの止血剤のみとしております。

手術でないと治らない副鼻腔炎もありますので、長年の症状でお困りでしたら、お気軽に当院にご相談ください。
難治性といわれる副鼻腔炎(好酸球性副鼻腔炎;手術しても再発する可能性がある)も近年問題となっておりますが、当院では、術後の再発を予防するために、様々な工夫をしております。こちらに関しましても、是非ご相談ください。難病指定を受けるための書類も作成可能です。

副鼻腔手術